もっと美味しい時間
結城先生、たったこれだけ話しただけで、私の性格を見抜いたらしい。
流石は、先生だけのことはある。
うんうんと一人頷き納得していると、慶太郎さんが顔を覗きこんできた。
「どうした? 何か言われたのか?」
「うん? 別に何も」
笑顔を返すと、お腹にそっと手を当てた。
「私と慶太郎さんの赤ちゃんが、ここにいるんだね」
「あぁ、そうだな。びっくりしたよ」
そう言うと私の手に自分の手を重ね、愛おしむような顔を向けた。その顔に、ホッとしている自分がいた。
私から離れ、慶太郎さんが曽我部先生と話しだすと、その姿をただ何となく見つめる。
慶太郎さん、嬉しそうで良かった。
本来なら結婚してから妊娠と言うのが順当で、正直慶太郎さんがどう思うのか心配だった。
だって妊娠を知って一言目が“俺の子か”だよ?
あの時は怒らなかったけれど、いくら動揺してたからって婚約者にいう言葉?
だからこそ、心配になってしまった。
まだ早い……とか言われたら、どうしようかと。
でもそんな心配、無用だったみたい。
今目の前で曽我部先生と話をしている慶太郎さんは、お腹の中の赤ちゃんが生まれてくるのはまだ7ヶ月も先の話だというのに、もうすっかりパパの顔になっていた。
気が早いぞっ、慶太郎さん!
まだまだしばらくは、私だけの慶太郎さんでいてね───
心のなかでそう呟くと、もう一度お腹に手を当て、そっと目を伏せた。