もっと美味しい時間
少し汁の量は減っていたけれど、これは出し汁を足せばオッケー!
キッチンに顔を出した慶太郎さんにピースサインをして見せると、穏やかな笑顔を向けてくれた。
「慶太郎さん、もう食べる準備始めちゃってもいい?」
慶太郎さんにお伺いを立てているのに、リビングから聞きたくない声が聞こえてきた。
「百花ちゃん、お腹減った~。まずはビール飲むから、何かつまみ出して」
慶太郎さんが、大きなため息をつきながら項垂れた。
これにはさすがの私も頭にきて、
「櫻井京介っ!! 私はあなたの家政婦じゃありませんっ!!」
慶太郎さんの親友だということも忘れて、叫んでしまった。
もうちょっとしおらしく出来ないもんかしら……。
黙ってれば、いい男なのに……。
って、違う違うっ!! 世間一般にいい男と言うことであって、私の好きなタイプじゃありませんからっ!!
私のタイプは……慶太郎さん、ただ一人っ!!
うひゃっ、言っちゃった///
「百花? 大丈夫か?」
し、しまったっ。慶太郎さんがキッチンにいたんだった……。
慶太郎さんに背中を向けるようにゆっくりと身体を動かす。
めちゃくちゃ恥ずかしい~。でも良かった、声に出してなくて……。
頬に手を当て、火照った顔を押さえていると、慶太郎さんが後ろから抱きしめた。
今日は何だかスキンシップが多くない?
嬉しいけれど、照れくさい……。
「また櫻井京介に何か言われるよ?」
「言いたい奴には言わせとけっ。ここは俺の家だから、俺が何しようと勝手だ」
「それはそうだけど……」
またからかわれるのは癪に障る。やっぱり二人きりで過ごしたかったと、愚痴が零れてしまいそうになるのをぐっと堪えた。