もっと美味しい時間
「私も慶太郎さんとダメになっちゃうのかなぁ……」
離れていたら想いが募る。だから逢えた時の喜びは、数倍に膨れ上がるんだっ!
何て、子供じみたことを考えていた自分が情けない。
って、綾乃さんに比べたら、私なんて子供以下……。赤ちゃんみたいなもんだよね。
「身長ない、胸ない、色気ない……三拍子揃ってるんだもん……」
声に出していることにも気づかず、一人ぶつぶつと呟く。
-----俺は、どんな百花も好きなんだ-----
慶太郎さんが言ってくれた言葉を思い出す。
今でも、そう思ってくれてるのかなぁ。綾乃さんと毎日いて、
「『どんな綾乃も好きなんだ』なんて囁いてないかぁ……」
意識が遠くに飛んでいってしまいながら、テーブルの上のグラスを持つ。寺澤くんの「あっ」という声も気にせず、それを一気に飲み干した。
「うぇ~、これビールっ!」
あまり得意ではないビールを飲んでしまったことに、気分が更に滅入る。
「だから、止めたじゃん」
呆れるように私の手からグラスを取り上げると、そのグラスに自分でビールを注ぎ美味しそうに飲んだ。
「藤野と間接キッス!!」
「……バカじゃないの」
私が冷たく言い放つと、寺澤くんがムキになって反撃しだした。
「バカはどっちだよっ。さっきから心の声ダダ漏れなの気づいてる? 若月先輩に言われたぐらいで落ち込んで、何の努力もしないで人を羨んだり、好きな人を疑ったり。今の藤野はサイテーだっ!!」
好き勝手言われてカチンときた。