おやすみ、先輩。また明日

ふと山中さんを見ると、必死な顔で料理本とノートを交互に見てはペンを走らせていた。

真剣だ。真面目だ。



「山中さんは、何を作る予定なの?」



微笑ましくなって声をかけてみたんだけど、かけてからはっとした。


そういえば、わたしたちいまだにケンカしたままみたいな状態だったんだ。

書き直したレシピをチェックしてもらった以外は、同じクラスにいても喋らないし。



最近は部活にも出ていなかったから忘れてたよ。

あの時は確かに傷ついたけど、時間も経って怒りを引きずってるわけじゃなかったし。


でも山中さんの方は……。




「……桜沢さんには関係ないでしょ。話しかけないでくれる」



しっかりまだ怒っていらっしゃる。


まいったなあ。

確かに前言い合いになった時、けんか腰になったわたしも悪いんだけどさ。

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