おやすみ、先輩。また明日

語尾が、自然と小さくなる。

確かに昨日はお詫びにと深く考えることもなく、ヤンキー先輩にシフォンを渡した。


でもいまは?


いままさに私は、ヤンキー先輩に食べてもらう為のお菓子を考えていなかった?

ヤンキー先輩の好みなものを、必死に考えていなかった?


無意識だったけど、これはいけないことだったのかな。


わたしにそんなつもりはなかったけど、

少なくとも、山中さんにとってはとても悪いことだったみたい。




「なーんで山中はそんなに桜沢につっかかんのかねぇ?」



突然、不思議そうな声とともに須賀ちゃんが身を乗り出して、テーブルの向こう側にいる山中さんの顔をのぞきこんだ。

嫌そうに顔を歪める山中さんに気づいてないはずないのに、須賀ちゃんは色んな意味で勇者だと思う。



「別につっかかってるんじゃないけど」


「いーや。山中ちゃんは必要以上に桜沢に対して厳しいじゃん? 誰も気にしないようなとこまでチェックして難癖つけてるみたいなさあ」


「難癖!? 私は常識的なことしか言ってない!」


「あっはっは! 山中の常識が世の中の常識とは限らないじゃん」


「須賀さんあなた、ふざけてんの!?」

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