饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「この流れでは、供物はあっという間に流されましょうな」
「流されるなど。川には竜神がお住まいになっているので、供物は直接神様に渡りますよ。現に、町のほうまで供物が流れてくることなどありません。それこそが、神様が供物を受け取った証拠でしょう?」
邪気のない顔で語る神明姫に、虎邪は蕩けるように微笑んでみせた。
「姫は本当に、素直でらっしゃる。神官の本質を、何もお知りではないのですね」
姫君が思わず見惚れるほどの笑みにも関わらず、その口から出た言葉は、多分に神明姫を馬鹿にしたものだった。
あまりに艶やかな虎邪の笑みに呑まれていた神明姫は、言われた内容がすぐには頭に入ってこなかった。
ぽかんと、虎邪を見る。
「あそこから流された供物は、ここまで流れてきて、神官に回収されるのでしょう。そうすれば、供物という名目で集めた品々を、そっくり懐に入れることができますからね」
先の神殿から目の前の川まで指を動かしながら虎邪がした説明に、神明姫は驚いた表情になる。
「流されるなど。川には竜神がお住まいになっているので、供物は直接神様に渡りますよ。現に、町のほうまで供物が流れてくることなどありません。それこそが、神様が供物を受け取った証拠でしょう?」
邪気のない顔で語る神明姫に、虎邪は蕩けるように微笑んでみせた。
「姫は本当に、素直でらっしゃる。神官の本質を、何もお知りではないのですね」
姫君が思わず見惚れるほどの笑みにも関わらず、その口から出た言葉は、多分に神明姫を馬鹿にしたものだった。
あまりに艶やかな虎邪の笑みに呑まれていた神明姫は、言われた内容がすぐには頭に入ってこなかった。
ぽかんと、虎邪を見る。
「あそこから流された供物は、ここまで流れてきて、神官に回収されるのでしょう。そうすれば、供物という名目で集めた品々を、そっくり懐に入れることができますからね」
先の神殿から目の前の川まで指を動かしながら虎邪がした説明に、神明姫は驚いた表情になる。