饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「姫はここしか知らない、と仰いましたね。・・・・・・ではこの町のことは、昔から知ってますか?」
少し経ってから聞こえた声に顔を上げれば、虎邪が顎に手を当てて、何か考え込んでいる。
おそらく初めて見た、虎邪の真剣な表情だ。
「え・・・・・・昔といっても、私が直接知っていることなど、知れてますが」
質問の意味が今ひとつわからず、神明姫は曖昧に答える。
その答えに、虎邪は一転して、にぱっと笑った。
元の、軽い雰囲気が戻る。
「そうですね。姫君はまだ、お若いですものね。昔のことなど、わかりませんよねぇ」
再び虎邪、魅力全開。
神明姫は、くらくらしながら言い返す。
「でっでも、外のかたよりは詳しいですよ。長の娘ですから、祭事などにも詳しくないといけませんし」
「ほぅ。あ、そうそう、この町には、昔ながらの秘儀めいたものがあるとか?」
びく、と神明姫が強張る。
ちら、と傍らの露を見、どうしたもんかというように、考える素振りを見せた。
それに気づき、虎邪は緑柱を促す。
「じゃ、お言葉に甘えて、今日もご一緒願いましょう。男二人で出歩くよりも、可愛い姫君がいたほうが楽しいですしね」
へら、と笑って神明姫の腰に手を回すと、虎邪はそのまま、姫を掬い上げるように、外へと連れ出した。
少し経ってから聞こえた声に顔を上げれば、虎邪が顎に手を当てて、何か考え込んでいる。
おそらく初めて見た、虎邪の真剣な表情だ。
「え・・・・・・昔といっても、私が直接知っていることなど、知れてますが」
質問の意味が今ひとつわからず、神明姫は曖昧に答える。
その答えに、虎邪は一転して、にぱっと笑った。
元の、軽い雰囲気が戻る。
「そうですね。姫君はまだ、お若いですものね。昔のことなど、わかりませんよねぇ」
再び虎邪、魅力全開。
神明姫は、くらくらしながら言い返す。
「でっでも、外のかたよりは詳しいですよ。長の娘ですから、祭事などにも詳しくないといけませんし」
「ほぅ。あ、そうそう、この町には、昔ながらの秘儀めいたものがあるとか?」
びく、と神明姫が強張る。
ちら、と傍らの露を見、どうしたもんかというように、考える素振りを見せた。
それに気づき、虎邪は緑柱を促す。
「じゃ、お言葉に甘えて、今日もご一緒願いましょう。男二人で出歩くよりも、可愛い姫君がいたほうが楽しいですしね」
へら、と笑って神明姫の腰に手を回すと、虎邪はそのまま、姫を掬い上げるように、外へと連れ出した。