饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「ねぇ姫。さっきの野郎どもは、頻繁にこの町に来るのですか?」

 水の中を見つめる神明姫に、虎邪が聞いた。

「奴は隣町の長、というわけでもないのでしょう? のわりに、あのナリ・・・・・・。隣の町は、ここより小さい、しかもそう豊かでない町だ。姫の父上だって、そう贅沢はしておられなかったのに、あれはどう見てもおかしい」

 しばし虎邪を見つめていた神明姫は、獣道の先を見つめて口を開いた。

「つまり、あの者たちは、上流の神殿から流された供物を、ここで全て回収して、自分たちの懐に入れていたということですか」

「神を信じていた姫には、ショックかもしれませんが」

 今度は馬鹿にするような態度は見せず、虎邪は頷いた。

「そう考えれば、全ての辻褄が合います。いくら祭事を行っても、一向に災害は減らない。隣のデブは、特に財源もないのに不相応な財がある。隣町がこの町を狙うのも、この川があるからですよ。この森は、そうそう人など入ってこないでしょう。人に見られたらまずいことをするには、打って付けだ。この町を手に入れれば、こそこそとこの森に忍び込まなくても良いわけですからね。今はとりあえず、森に入るのも出るのも、辺りに注意をしていると思いますよ。盗んだ供物を抱えているわけですし」

「・・・・・・」
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