饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「緑柱。ここに、そこの皿の上のモノを全部入れろ。急げよ」

「わお。豪華な食事だねぇ。ちょっと摘んでいい?」

「急げっ!!」

 呑気な緑柱を急き立て、虎邪は、さげてあった皿の中身を、あらかたパン生地の上にぶちまけると、それを包むように、生地を丸めた。
 丸めるといっても、相当な大きさだ。
 両手で掴んだ生地の端同士をこねて、口を閉じる。

「でっかい饅頭だね。途中の弁当?」

 出来上がった肉まんは、ゆうに人の頭ほどもある。
 虎邪は運搬用の大きな網を引っ張り出し、それで肉まんを包んだ。

「よし。じゃあ神殿に急ごう。馬車じゃ遅い。馬借りるぜ」

 緑柱と二人がかりで肉まんを抱え上げ、虎邪は来たとき同様、慌ただしく台所を飛び出して行った。
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