研修の夜
でも何、この微妙な空気。なんで何も言わないんだろう。いや、私もだけど。かなり気まずいと思ってるのは私だけ?


自分の判断が正しく思えてホッとしたのも束の間、また悩んでしまう。


どうしよう。どうしよう。


そして、この微妙な空気に耐えられなくなった私はさっきと同じように腕を伸ばすことにした。すると彼も応えるように第2ラウンドが始まる。


このまま何事もなかったようにさっきと同じ攻防が始まる、そう思っていたけど、その予想は見事に外れた。



嶋田くんの耳を触ろうと両手を彼のほうへ伸ばすと、その腕は彼の大きな手に掴まれてしまった。


そして、身体は嶋田くんの胸に引き寄せられ、ほんの一瞬、唇が触れ合った。



えっ!?


一瞬自分の身に何が起こったのか分からなかった。だけどすぐに自分が目の前の彼にキスされたのだということに気付いた。


なんで? 何これ?

事実を頭では理解できたものの、どうしていいか分からない。ただ彼を見つめる。


見つめ合ったまま何秒か動かなかった。私にはそれが2・3分にも感じられた。


するとその沈黙を破って嶋田くんが再び動いた。


「ん、んんっ」


静寂を破るように甘い声が研修室に響く。

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