研修の夜
頬に触れる温かい手。服の擦れる音。そして、熱い唇。

混乱した中でも感じ取れるリアルな感覚。


一度目と比べるとかなり長い濃厚なキスだった。そして2人の唇がそっと離れた。



「なっ、なんで、こんな……」


息の上がった私がやっと口にできた言葉だった。

すると彼は何も言わずに私の耳元に顔を寄せ、まるで内緒話をするように小さな声でただ一言囁いた。



「俺と付き合って」


嶋田くんは真剣な顔で私を見つめている。

夢にも見ていなかった展開に、私の思考能力は完全に停止していた。だけど、考えるまでもない。答えは決まっている。


私は何も言わずにただコクリと頷いた。そしてそのまま俯いた。


恥ずかしくて顔が見られない。


すると嶋田くんは私を自分の腕の中に包んだ。今度こそ私も安心して、彼の背中に腕をまわし、ギュッと抱きついた。顔を隠してしまっているけど、想いが伝わるように。そして、さっき我慢した分も合わせて、強く強く。


そして彼は、恥ずかしがる私の顎を持ち上げ、3度目のキスをした。


深い深いキスだった。

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