研修の夜
突然すぎて一瞬状況が分からなかったけど、くすぐったさに身体が動く。


「ちょっ、や、嶋田くん、くすぐったい、やっ、もう」


きっと今の私はさっきの彼以上に身体をひねらせている。しかしなかなか逃がしてくれない。


「先に手を出したのはそっち。正当防衛正当防衛」

「あっ、もう、やめっ、やっ。くすぐった……、いやっ。ごめ、ごめん、降参!」



彼はやっと手を離してくれた。「なんて声出してんの?」そう笑いながら。

恥ずかしいのとくすぐったいので、顔が熱い。だって服の上からとはいえ、彼氏以外にこんなに身体に触られたことなんてない。こんなことされたら変な声も出ちゃうし、変な気持ちになっちゃうじゃん!

息を整えながら、嶋田くんに聞く。


「なんでわき腹が苦手って分かったの?」

「人がくすぐったがる場所なんて大体同じじゃん、ほら」


そういって嶋田くんはいたずらをした子どものように、にやっと笑って再びこちらに手を伸ばした。

その表情を見て、この人、こういうのに慣れてそうだなと少し思った。



「ちょっと、そっちがその気なら負けないんだから」

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