研修の夜
その後、私達は攻防を繰り返しつつ、遊んでいた。私は嶋田くんの耳を触ろうとし、嶋田くんは私のわき腹を触ろうとする。

研修のテキストなんてとっくに閉じられていて、知らない人が見たら私達を見たら、恋人同士がじゃれあっているようにも見えたかもしれない。いや、自分でもそう思うくらいなんだから、きっと見えるだろう。


そして2人ともちょっと疲れてきた頃、嶋田くんが私の動きを封じようと、両腕を使って私の身体を押さえた。



「もー、これ卑怯だよ、動けないじゃん」


彼の腕から逃れよう必死にもがく。と同時にあることに気づく。


あれ?
待って、この状況って……。


ふと今自分は嶋田くんに抱きしめられているのではないかと感じ、抵抗していた腕の力が緩んだ。

そして私が抵抗しなくなっても、彼はそのままの体勢。


え、これってホントにどういう状況?


ドクン、ドクンと鼓動が強くなるのが分かった。

二人とも黙っていて静かだし、何より密着しているから、彼にも私の鼓動が聞こえてしまっているかもしれない。

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