ポチタマ事件簿① ― 都会のツバメ ―
「そうですか……」
「あぁ、あと、目覚ましの音がうるさいとかなんとか言ってたけれど、それも苦情というほどでもないみたいだし」
「ほう! 仲が悪かった、と?」
シロは少しだけ身を乗り出した。
「いやぁ、そんなんじゃないでしょ。よくある、ご近所のウワサ話の類ですよ」
「でも騒音トラブルがあったのでは?」
「マンションなんかどこも多少の騒音トラブルを抱えてるもんですよ。ましてや、朝の目覚ましの音だから。――刑事さんだって、マンションに住んだことあればわかるでしょ?」
「はあ、まあ。――では、鈴木さんと仲の悪かった人やトラブルになっていた人はいますか?」
「う~ん……聞いたことないねぇ。あまり近所と関わる感じの人じゃないみたいですよ」
「近所つきあいは苦手な人だと?」
「まあねぇ。ただ、マンション内で近所つきあいしている人なんてね、そういませんよ。このマンションでいえば、一割もいないでしょうねぇ」
「なるほど、そういう意味では変わったところのある人ではなかったと?」
「そうですねぇ、管理人からしてみれば、その他大勢の入居者さんと同じですねぇ」
「……そうですか」
シロは手帳に目を落として考え込んだ。