ポチタマ事件簿① ― 都会のツバメ ―
その姿は、飼い主に散歩をすっぽかされてしょげている白い犬に似ている。
管理人は役に立てなくて申し訳ないと思ったかもしれない。
「ああ、刑事さん、お茶も差し上げないで、すみません」
管理人は席を立って、狭い管理人室の一角にある流し台へ向かった。
おかまいなく、とシロは口の中でモゴモゴと言った。
ポチは、捜査の邪魔をしないように黙っていたが、そろそろ構わないだろうと口を開いた。
「シロ。その、鈴木氏は何をやったんだ?」
「何もやってないよ」
シロは手帳を見つめたまま、そう答えた。
「それじゃ、わざわざ刑事が来やしないだろ?」
シロは手帳をパタン、と閉じてポチの顔を見た
「ホントに何もやってないんだよ。ただ、行方不明届――俗にいう捜索願が出されただけ」
「それって、刑事が調べるものか?」
「いや、事故や事件に巻き込まれた可能性があるケースだけ」
「え!? じゃあ鈴木氏も……」