ポチタマ事件簿① ― 都会のツバメ ―

「まあな。――ただ、今回はちょっと事情がな」
「事情?」
「捜索願を出したのは鈴木氏の勤務先の社長で、ウチの署長とゴルフ仲間」
「は? ゴルフ?」
「警備関係の会社だって言ってたから、署長の天下り先候補の一つだろう」
「そ、そうなんだ……」
「その社長が言うには鈴木氏はいなくなる数日前から『人生がつらい』とか言い出した。自殺でもしたんじゃないかと。で、ウチの署長にネジこんで俺らが捜索にあたらされてるってわけだ」
 シロは一気に吐き出すように言った。
 署長に私用で使われているみたいで面白くないのだろう。
「そういうのってアリなのか?」
「ナシだろ、フツー。それに捜索願なんか原則家族じゃなきゃ出せないんだし」
「鈴木氏の家族は?」
「兄貴がいるらしいが、社長はそれ以外のこと――兄貴の住所や職業とか、生きてるかどうかも聞いたことがないらしい」
「ふ~ん。ということは、ウチの管理人への聴取はそんなに大事ではない?」
「そうは言わないさ。最後の足取りの情報は、近所からの聞き込みが有力だから」

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