ポチタマ事件簿① ― 都会のツバメ ―
夜十時ジャスト。
ポチは自宅マンションのエレベーターのボタンを押した。
「はぁ~、やっとか……」
疲れて帰るのはいつものことだが、今日は警察絡みが多かったのでなおさら疲れた。
エレベーターに乗り込み、自宅のあるフロアのボタンを押す。
エレベーターは静かに動き出した。
着くまでの短い時間で携帯電話をチェックする。
曜日や時間にお構いなしの社風なので、着信やメールのこまめなチェックは、ちょっとした職業病である。
幸い、着信もメールもなかった。
ほっとする一瞬。
ドアが開き、エレベーターから降りた。
歩きながら自宅の鍵を取り出し、玄関ドアの鍵をがちゃりと開ける。
ドアを開けると、リビングの灯りが薄暗い玄関を照らしていた。
ポチは一人暮らしだ。
電気をつけっぱなしで出かけたか、空き巣に入られたか、あるいは……。
「あ、ポチ。おかえりー」
部屋の奥から、明るい女性の声――聞きなれた――がポチを迎えた。