二度目の恋
美月が手紙の封を開けて、中から一枚の三つ折りされた紙を取り出した。そして、その紙を広げると一言だけ文が書かれていた。『逃げなさい』しっかりとした文字だった。美月はその手紙に震えと驚きを感じた。その手紙の下に名前があった。『倉岡シャリー』と。
美月は震えだした。<何でママが?私に?ママは死んだの。ママは死んだの。ママは死んだの>何度も言い聞かせると、勢いよく家を飛び出した。「シュウ!」叫んだ。「シュウ!」愁は振り向き、美月に気づくと自転車を方向転回して美月に近づいた。
「私、私、知りたいの」
「何を?」
「全て、何もかも……まず、この手紙のこと」
「その手紙、局長がくれたんだ」
「局長?」
「郵便局長だよ」
「じゃあ、局長に会わせて!」
「分かった。乗って!」
 そう言うと自転車の後ろに括り付けられていた鞄をほどき、そこに美月が座ってその鞄を膝の上に置くと、愁は自転車を走らせた。
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