二度目の恋
「ここは美しかった。様々な色彩を持つ花が咲き、緑はあった。湖も青い光を放っていたんです……私には、妖精が見えた。いえ、誰もが見えたんだ。でも皆忘れる。それを覚えている人間だっている。私みたいに……」
私は枯れた湖を見ている。すると私の目に写り変化していく。枯れた湖に青い光が放ち、枯れた花は色鮮やかに咲き乱れ、樹木は青々と葉を付けて、草も青く茂った。雲は晴れやかになり、太陽の光が湖に向かって降り立った。
私が足元を見ると妖精が現れて、ズボンの裾を引っ張って湖の奥へ指を指していた。私はにこやかに妖精に笑いかけると、指さしている方向を見た。霧は深く、よく見えなかったが、奥に影が見えた。私はさらによく見た。すると霧は左右に引いていき、その物の影が見えてきた。私は目を疑った。それは、私の、私自身の姿だった。笑って、私を見ていた。私も覚悟は決めていた。笑って、その姿に頷いた。
「橘……」
高山さんの声が聞こえた。
「どうした」
私が気づくと、色鮮やかに染まった湖はなく、枯れ果てた湖があった。
「どうした?」
高山さんが聞いてきた。
「いえ……」
「何か変だぞ。昔のことか?」
「いえ……」
「じゃあ何だ」
「何でもありません」
私は暫く黙って、高山さんの顔を見上げて口を開けた。
「高山さんは今、毎日どうお過ごしですか?」
「何もだ。十年前に退職して、おまえも引退した。それからおまえは俺に美月ちゃんの墓を探してくれと依頼して、もう十年だ。だが、何故十年前おまえは引退した。何故二十年立って突然美月ちゃんの墓を探し出す?」
「墓は、何処にありましたか?」
「ハワイだ。母親の隣にあった」
「やはりあそこですか。私も一番にあそこに行った。だけど無かったんです。きっと、奴が隠した。ずっと墓を探してた。美月の墓を……」
私は枯れた湖を見ている。すると私の目に写り変化していく。枯れた湖に青い光が放ち、枯れた花は色鮮やかに咲き乱れ、樹木は青々と葉を付けて、草も青く茂った。雲は晴れやかになり、太陽の光が湖に向かって降り立った。
私が足元を見ると妖精が現れて、ズボンの裾を引っ張って湖の奥へ指を指していた。私はにこやかに妖精に笑いかけると、指さしている方向を見た。霧は深く、よく見えなかったが、奥に影が見えた。私はさらによく見た。すると霧は左右に引いていき、その物の影が見えてきた。私は目を疑った。それは、私の、私自身の姿だった。笑って、私を見ていた。私も覚悟は決めていた。笑って、その姿に頷いた。
「橘……」
高山さんの声が聞こえた。
「どうした」
私が気づくと、色鮮やかに染まった湖はなく、枯れ果てた湖があった。
「どうした?」
高山さんが聞いてきた。
「いえ……」
「何か変だぞ。昔のことか?」
「いえ……」
「じゃあ何だ」
「何でもありません」
私は暫く黙って、高山さんの顔を見上げて口を開けた。
「高山さんは今、毎日どうお過ごしですか?」
「何もだ。十年前に退職して、おまえも引退した。それからおまえは俺に美月ちゃんの墓を探してくれと依頼して、もう十年だ。だが、何故十年前おまえは引退した。何故二十年立って突然美月ちゃんの墓を探し出す?」
「墓は、何処にありましたか?」
「ハワイだ。母親の隣にあった」
「やはりあそこですか。私も一番にあそこに行った。だけど無かったんです。きっと、奴が隠した。ずっと墓を探してた。美月の墓を……」