二度目の恋
「えっ?」
「おまえの呼び名だ。友達から何て呼ばれてるんだ?」
「健太郎って……」
「健太郎か……よし、僕もそう呼ぼう」
「……はい」
「あと僕のことを先生って呼ぶの止めてくれないかな」
「あ、でも、先生なんで」
「やなんだよ。何か偉ぶってるって言うか、照れくさいって言うか……」
「でも、編集長がそう呼べって」
「じゃあ高山さんの前だけ、先生って呼べばいい」
「あ、でも……」
「そう、呼べばいい」
「あ……はい」
「僕のことは何と?」
「はい?」
「愁……愁と呼んでくれ」
「えっ、それは、でも……」
「愁だ。呼んで見て!」
「シュウ……さん」
「シュウ!」
「いや、それは……」
「それは?」
「呼べません」
「何で?」
「それは……何でって言うか、年も上だし……」
「関係ないよ。愁だ。分かった?」
「……はい」
 健太郎には分からなかった。<何故、先生は突然こんなこと言うんだろう>愁はだた、そう呼ばれたかったんだ。
「ここから始めたいんだ。ここから……そうだ!おまえ、明日何してる?」
 愁は突然声を張り上げて言った。
「いや、別に……編集長から先生に一日付き合えって言われてるんで」
「愁だ!」
「あ、愁に付き合えって」
「分かった。じゃあ僕に付き合って」
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