二度目の恋
 湖の青い光がやがて、赤い夕景に変わり、花も木も草も全てが、赤く染まっていった。鳥の鳴き声も聞こえた。それでも私は少女の瞳から、目を離すことは出来なかった。
 すると突然私の立っていた岩に、私の足が減り込んでいった。<パパ、どこ?>私の足はドンドン岩へ減り込んでいった。<パパ、助けて……>不安に思い、辺りを見渡したが誰もいなく、少女はいつまでも私に近づき歩いて、私は不安になった。それでも鳥の鳴き声は、可愛らしく聞こえた。その声がやがて電話のベルへと変わる。ジリリリン、ジリリリリンと、この湖全てにベルの音が響き渡った。
ジリリリリン、ジリリリリンと         
やがて、赤い光が白く私を包んでいった。
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