二度目の恋
 もう夜は更けていた。村中の明かりという明かりは消え、愁は暗闇を、懐中電灯もなく歩いていた。
 家に着き玄関を開けると、そこもまた、全ての明かりが消えていた。愁はまず居間の明かりをつけた。そして廊下をスタスタと歩き、客間に向かった。すると客間の障子の奥から、蝋燭の明かりが漏れており、そこに人影が見える。愁は少し障子を開けて、中を覗いた。恵子の姿があった。ずっと亨に寄り添って見つめている。涙を流していた。みんなの前では、決して見せなかった涙。亨の前で、一人泣いていた。愁はその姿を見、そっと障子を閉めた。すると、どこからかリュウが愁に歩み寄ってきて、愁はリュウの頭を撫でた。
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