不器用な恋人【短編】
でも今の心を締め付ける苦しさは、その時とは違う。



うまく言えないけど、違うの…。



そばにいるのに…
届かない。


触れられるのに…
遠い。


温もりはあるのに…
満たされない。








“なんで”と思うのに……


離れられない。






「…ハァァ」




出るのはため息ばかり。




キュッとシャワーノブを閉めてバスルームから出る。



布団を見れば、相変わらず静かに寝てる真樹。






「寝相いいね」



私が悪すぎるだけか(苦笑)






ごちゃごちゃ考えれない。





頭をタオルで拭きながら真樹の寝顔を覗き込む。



整った眉。
長いまつげ。
鼻筋がキレイ。
薄い唇。
凛とした雰囲気。




心が傷つかないサプリメント…ないのかな。




「…バカ」

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