女王の密戯
「何か、気にしてますよね?」
三浦が欠伸を噛み殺しながら訊いてきた。自宅と所轄の往復、そして連日の捜査で疲れているのだろうか。だがそれは茶田も一緒だし、何より彼の方が茶田より十以上若い。
「え? 何の話ですか?」
三浦の話に由依が乗っかってくる。
この面子でいて静かだったためしがない。それは余計な疲れを生む。
「米澤紅華ですよ。茶田さん、初日から何か気にしてるんすよね」
捜査が進むにつれ、三浦は由依に話し掛けられても頬をあからめることはなくなった。人間、慣れればどうとでもなるのだろう。とはいえ、何処かの店に入って由依が隣に並べば三浦は忽ち、由依が座っている方の肩を強張らせる。
まさかと思うが、三浦ほどに顔の整った男が女と付き合ったことがないなんて有り得ないだろう。なので、そこから察するに三浦は由依のことが本気で好きなのだ。それなのに、その気持ちを彼女に伝えない。
挙げ句、それは出来ないなどと抜かす。
そこに隠されたものを聞き出したいとは思わない。言いたくないから言わないのだから。
人なんて、そんなものを幾つも抱えているものだ。
「でもタイプではないんですよね?」
由依は寒そうに身体を縮こまらせている。
まだ撮影現場に人は集まってきていない。疎らにスタッフがいるだけで、女優や俳優などの出演陣は誰もいない。
「……もしかして、あの人が犯人だとか思ってるんすか?」
三浦はそう言った後、小さなくしゃみをしたがそれはまるで女のようなくしゃみだった。
今朝の天気予報では来週辺りから一気に暖かくなると言っていたがこのぶんではどうも疑わしい。
三浦が欠伸を噛み殺しながら訊いてきた。自宅と所轄の往復、そして連日の捜査で疲れているのだろうか。だがそれは茶田も一緒だし、何より彼の方が茶田より十以上若い。
「え? 何の話ですか?」
三浦の話に由依が乗っかってくる。
この面子でいて静かだったためしがない。それは余計な疲れを生む。
「米澤紅華ですよ。茶田さん、初日から何か気にしてるんすよね」
捜査が進むにつれ、三浦は由依に話し掛けられても頬をあからめることはなくなった。人間、慣れればどうとでもなるのだろう。とはいえ、何処かの店に入って由依が隣に並べば三浦は忽ち、由依が座っている方の肩を強張らせる。
まさかと思うが、三浦ほどに顔の整った男が女と付き合ったことがないなんて有り得ないだろう。なので、そこから察するに三浦は由依のことが本気で好きなのだ。それなのに、その気持ちを彼女に伝えない。
挙げ句、それは出来ないなどと抜かす。
そこに隠されたものを聞き出したいとは思わない。言いたくないから言わないのだから。
人なんて、そんなものを幾つも抱えているものだ。
「でもタイプではないんですよね?」
由依は寒そうに身体を縮こまらせている。
まだ撮影現場に人は集まってきていない。疎らにスタッフがいるだけで、女優や俳優などの出演陣は誰もいない。
「……もしかして、あの人が犯人だとか思ってるんすか?」
三浦はそう言った後、小さなくしゃみをしたがそれはまるで女のようなくしゃみだった。
今朝の天気予報では来週辺りから一気に暖かくなると言っていたがこのぶんではどうも疑わしい。