女王の密戯
「犯人……か」

茶田はぼそりと呟いた。

「え、違うんすか?」

三浦が鼻を啜りながら言った。
正直、そこまでは考えてなかった。ただ、妙に引っ掛かるというか、気にかけずにはいられなかっただけだ。

「茶田さん、俺達の仕事は?」

「犯人を捕まえること」

まるで小学生のような確認だなと思いながらもそれに答える。
そんなことは言われなくてもわかっているが、どんなに探しても犯人が出てこないことがあるのも知っている。

「それなら犯人と思しき人物を当たりましょうよ」

三浦はそう言ったあと、また女のようなくしゃみをした。
連日の疲れというより寒さのせいで風邪でもひいたのだろうか。そんな三浦の様子を由依が大丈夫ですか、と気にしている。

「んー、そんなことしても無駄かな、てさ」

茶田は走っていくスタッフの一人を見ながら答えた。

「何でですか?」

三浦はそれにきょとんとした顔をした。三浦の童顔が更に幼く見える表情だ。

「だって、犯人と思しき人物なんていないだろ」

これだけ調べても、と言えるほどの捜査はまだしてはいないが、今の段階ではまだ何故大城が殺害されたのかもわからない。
なら犯人と思しき人物を当たることは不可能だ。

「それもそうですね」

茶田の答えに三浦は納得したように頷いた。その隣では由依も同じように頷いている。
いい加減、どうにか由依を捜査から外せないものか、と考えてしまう。

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