女王の密戯
「友達って、何人くらいいる?」

取り敢えず近くにあったファミレスに入ると、どういった組み合わせか理解しづらい三人を見てウェイトレスの若い女は不思議そうな顔をしていた。
茶田達はそれを気にせずに窓際の広めのテーブル席を陣取った。

「友達、ですか?」

メニュー表を開きながら三浦が顔を上げてきた。くり、とした瞳が茶田を捉える。男のくせに異様に睫毛が長く、そのわりにはその顔立ちに女っぽさはない。

「そう、友達」

「三人ですね。全部高校時代の友人です」

三浦は答えてから直ぐにメニュー表に視線を落とした。由依はちゃっかりと茶田の隣に座り、メニューを茶田にも見えるように置いている。

「愛宕は?」

茶田が由依に視線を向けると由依はちら、と茶田と目を合わせた。

「五人、です。地元の幼馴染みが二人と、高校のときの友達が三人」

由依は小さな手をパーに開いて答えた。
芸能人が不規則な生活だというなら、刑事だって同じだ。約束をしていたって事件が起きればそれは反故するしかなくなる。それなら自分達にだって親しいと呼べる者は出来ないはずだ。
だが、違う。

実際、茶田にだって友人と呼べる人間は二人いる。こまめに会ったり、頻繁に連絡を取り合ったりするわけではないがその関係は今も続いているし、友人でなくとも職場にだってそれなりに親しい人間はいる。

それをいない、という彼女は一体何なのか。

仕事のない日も一人でいたいがためか。そうとしか思えないのだ。だとしたら、その理由は何か。

親しい人間を作りたくない理由があるはずだ。でなければ人は一人でいることを好みはしない。




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