女王の密戯
「だとすると、大城と米澤紅華に共通の友人はいないということですか?」

ひょっこりと由依が茶田と三浦の会話に加わった。

「断定は出来ないけどな」

お互い親しい人間がいないとなれば、同じ業界にいても偶然共通の友人がいたり、ということはないということになる。しかし、知人と呼べる範囲であればいるだろう。だがそれはあくまでも「知人」であり、二人のことを詳しく知る人物だということではない。

となると……。

「互いの面識は本人同士しかない」

三浦は珍しく低い声を出したがそれは鼻にかかったような声で、彼の声が元々鼻声に近いと知らない者であれば風邪でもひいていると思われそうだ。

「それが何なんですか?」

二人の会話の意味がわからないらしい由依が首を傾げてどちらにともなく訊いてきた。

「これは、あくまで米澤紅華を犯人として仮設した場合の話だ」

茶田は声をひそめて言った。
近くでは入ったものの注文を決める素振りのない三人をウェイトレスが怪訝な顔で窺っている。

「え、あの人犯人なんですか?」

由依がいつもより声を高くしたので、三浦が慌ててしー、と人差し指を自分の唇に押し当てた。
こんな会話を一般人に聞かれるわけにはいかない。

「あくまでも、と言っただろ」

茶田の注意に由依はしゅんとしながらすみません、と小さく頭を下げた。



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