女王の密戯
「茶田さん、あの人のこと疑ってるんですか?」

由依が小声で訊いてくるのに、茶田は微かに首を傾げた。

「確信はない」

そう、確信はないのだ。彼女が犯人だという確信は何処にもない。ただ、漠然とそう感じるわけでもない。でも彼女を調べずにいられないのだ。

「で、仮説で何なんですか?」

由依は取り敢えず納得したらしく、そう返してきた。

「大城を殺した理由は本人しか知りようがないってことだ」

共通の友人がいない限り、周りからその線を固めることは出来ないということだ。

「それって、手詰まり、てことですか?」

漸く二人の言いたいことを理解したらしい由依が眉を下げて言った。まさに、その通りだ。
犯人が他に存在するのならそんなことはない。幾らでも調べようはある。だが、犯人が紅華だと仮定した場合、本人から話を聞き出すしかないのだ。

「三浦はどう見る?」

茶田は水の入ったグラスに手を伸ばしながら質問した。

「怪しくない……とは言いません」

三浦は唇を少し歪ませながら答えた。

「茶田さんが言ってた通り、親しくもないのに自分から話をしたり、何て言うんですかね、高圧的とは違うんですが、何処か自分から俺達に挑んできてる感じはします」

三浦は言葉を選びながらか、ゆっくりそう言った。茶田もそれに頷く。その通りなのだ。



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