瞳の向こうへ
紗弥加ちゃんが指差してる先はマウンド。

うお!!翔君がこっちを見てるじゃないですか!

「キャプテンが恋しいんでしょう」

「でしょう」

「お〜い、俺はそんなんじゃないぞ。葵を見てるんだよ」

ムキになって否定する青柳君にキャプテンの面影は……。

「こんな時にあいつに言葉で気合い入れられればなあ」

「青柳君、ここは私が」

久しぶりに彼と言葉を交わす。

交わすと言っても手話でのやりとりだけどね。

『打たれたら草むしりとランニング。彼女と一緒に帰るの禁止』

『俺は打たれません』

表情があからさまだった。

「あれ、怒ってるよね」

「あいつ、あんな怒るんだなあ」

二人が変に感心しちゃったみたい。

そうこうしてるうちに試合が始まった。

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