瞳の向こうへ
何度手話で伝えたかこのセリフ。


そして何度相手を呆れさせてきたか。


俺にとっては破壊力抜群のセリフですよ。


『……まあ、ここまで一人できたってことはいいことね』


『帰ります』


『いいの?』


『何ですか?』


『彼女きてるよ』


『どの彼女ですか?』


だんだん潤子先生の思わせぶりな態度にイラついてきた。


『手話同好会会長さん』


『葵さん?どうしてですか!!』


『あらら?その食いつき様はな〜に?』


人の流れが増えてきたので、近くのソファー付近に移動した。


『別に……なんともないですよ』


『好きなんでしょ』


クソ!周りがみんな手話わからないのが悔しい。


それをわかってて……。


『俺には同級生の彼女がいます!葵さんはお世話になってるだけです』


『ほんとに〜』


『それより、葵さんが何でこの病院に?』

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