身勝手な恋情【完結】
なにかあれば祐さんから連絡があるはずだけど……。
そもそも私、蓮さんの携帯番号すら知らないんだよね。
彼が普段携帯で話してるのなんか見たことないんだけど……。っていうか持ってるのかな、携帯電話。
いや、まさかそんなわけない。持ってるよね、うん……。
「さむ……」
そんなどうでもいいことをつらつらと考えながら、コートの上から二の腕をさすっていると。
「――ひよ」
蓮さん!?
冬の空の下、凛と響く大好きな人の声にハッと顔を上げる私。
向こうから、タクシーを降りた、コートを手にした蓮さんが走ってくるのが見えた。