身勝手な恋情【完結】
「蓮さん」
「――」
私の声に振り向かない蓮さん。
冷たい風がそよそよと彼の髪をなびかせているのが見える。
どうしてあんなところにいるんだろう。
しかも風にあたるなんて……。
不思議に思いながらも彼へと近づく。
「蓮さん」
「――」
私の声は寒い廊下に驚くほど響いた。
だから間違いなく彼の耳に届いたハズだった。
それでも彼はピクリとも動かない。
わざと無視されてる?
こんな状況で彼に無視されたと思うと、突然外国で迷子になった気分で、不安になる。