身勝手な恋情【完結】
じりっと焦げ付く胸の奥の感情に名前をつけるのは難しい。
もどかしい、とか
どうして振り向いてくれないの、とか
とにかく何もわからないから、不安で仕方なかった。
だから早く蓮さんに安心させてもらいたかったんだ。
いつもの甘い意地悪で、心配ないよと、全てを包み込んでほしかった。
「蓮さんっ……!」
廊下を強く蹴って、走る。
そして手を伸ばし蓮さんの背中に抱きついた。
頬を背中に押し付けると、懐かしくて大好きな蓮さんの香りがする。
彼が好んで吸う外国の煙草のクローブの香り――