身勝手な恋情【完結】

ぼーっとしていたら、金属の触れ合う音がした。

カップが私の前に置かれ、カフェモカのいい香りがふんわりと漂う。



「ごゆっくりお過ごしください」

「――ありがとう」



テーブルの上にカップを置くだけのその腕の動きが美しくて、つい見惚れる。


所作がきれいって、いいな。

こっちまで自然と背筋が伸びる。


そのまま彼の姿を目線を追うと、左目の下に泣きぼくろを発見して、なんだか得した気分になった。


精悍な顔立ちに泣きぼくろだなんて色っぽい。

彼、和美のタイプかも。今度教えてあげよう。


お店の名前、なんて書いてあったっけ。

コーヒー&モダンジャズなんとか……って書いてあったような……。

あとでちゃんと見ておこう。


< 170 / 469 >

この作品をシェア

pagetop