身勝手な恋情【完結】
ぼーっとしていたら、金属の触れ合う音がした。
カップが私の前に置かれ、カフェモカのいい香りがふんわりと漂う。
「ごゆっくりお過ごしください」
「――ありがとう」
テーブルの上にカップを置くだけのその腕の動きが美しくて、つい見惚れる。
所作がきれいって、いいな。
こっちまで自然と背筋が伸びる。
そのまま彼の姿を目線を追うと、左目の下に泣きぼくろを発見して、なんだか得した気分になった。
精悍な顔立ちに泣きぼくろだなんて色っぽい。
彼、和美のタイプかも。今度教えてあげよう。
お店の名前、なんて書いてあったっけ。
コーヒー&モダンジャズなんとか……って書いてあったような……。
あとでちゃんと見ておこう。