身勝手な恋情【完結】
「荷物から手を離したのは僕だからね」
にっこりとほほ笑むのは――
嘘でしょう……?
「これは持って帰るよ。ノアの新しいマスターには、また新しいカップをプレゼントしよう」
「薫さん、そんな、いいですって! これ有難く頂戴します。で、カップは修理に出しますから。お客さんも気にしないでください」
ノア……このお店のことだろうか。
その新しいマスターだという彼は、にっこりと笑いながら
私と彼――
立花薫の顔を見比べる。
そう。私を助けてくれたのは、あの、立花薫だったんだ……。