身勝手な恋情【完結】

それなりに年上の彼を「愛おしい」と思うのはなんなんだろう。



「――なんでひよが泣くわけ?」



蓮さんがふっと息を漏らすように笑う。


理由なんて説明できない。


両親に当然のように愛されて、ごくごく普通に育った私からしたら、蓮さんの昔話は重くて、辛くて――

だけどそれは「可哀想に」と同情しているとは違っていて……。


辛いことがあるのなら、私が癒してあげたい

癒せないのなら分け合いたい――


彼が泣くぐらいなら、私に私が泣いたっていい……


私の体の中で激しく渦巻くのは、そういう感情だった。


ただ、愛おしいと思う、感情だ。


< 206 / 469 >

この作品をシェア

pagetop