身勝手な恋情【完結】
とにかく、やってることは変かもしれないけど聡明に見えるし、ちゃんと説明すればわかってもらえるだろう。
ソファーの上で座りなおして、凛としたたたずまいの彼女の横顔に話しかける。
「社長は忙しい人だから、相手が誰であれ、いきなりやってきた人と直接会ったりしない」
「――」
「だけどせめてあなたがどこの誰で、社長にどんな用事があるのか教えてもらえれば、社長か副社長にあなたのことを説明できると思うんだけど……」
「――」
私の言葉を聞きながら無言を通していた彼女だけれど、その聡明そうな額の奥で色々考えているようにも見える。
ココアを半分ほど飲んだところでカップをテーブルの上に置き、通学バッグからアイロンのぴしっとかかったハンカチを取り出し、口元をぬぐった。
そんな様子から、彼女の育ちの良さが何となく伝わってきて、少し背筋が伸びる。