身勝手な恋情【完結】
いっそのことインスタントですませようかと思ったけれど、そうすると蓮さんは匂いでもう飲まないことはわかっているので、とりあえずドリップを大急ぎで淹れる。
よし、出来た!
トレイにコーヒーを乗せ、ドアの前で深呼吸をしてからノックをする。
「どうぞ」
中から祐さんの声がして。
「失礼ます」
おそるおそる応接間の中を覗き込むと、蓮さんはソファーに座ってすらいなかった。
あれれ……?
と、視線を巡らせて、ひんやりした空気にギクッと立ち尽くす。