身勝手な恋情【完結】
「歩いて5分って……え?」
「一応言っとくけど、豪華マンションとかじゃないからね。職場から近いってだけで選んだから」
「や、そうじゃなくて……」
「なに。俺の部屋なんかに来たくないってわけ?」
蓮さんは不機嫌そうに眉を寄せる。
「ち、違いますよ! そうじゃなくて……部屋、呼んでもらえるなんて思ってなくて……嬉しくて……!」
どうしよう、泣いちゃいそう……。
すると途端にぷいっとそっぽを向く蓮さん。
「泣くなよ、うっとおしい……」
「だって……夢みたい……」
「夢みたいって大げさだね……泣くな。こんなことで、泣くな……」
そして蓮さんは、そのまま私を道の端っこで抱き寄せる。
時はすでに深夜で。
人通りはほとんどまばらで――
だけど彼の腕の中はとてもあたたかい。