身勝手な恋情【完結】

「ひよ、あのね……」



蓮さんは私の襟足付近を指でもてあそびながら、ゆっくりと言葉を紡ぐ。



「俺、どうしたらひよが喜んでくれるとか、全然わからない」

「――」

「なにしろ初恋が無残に砕け散ってから15年。30過ぎてもこのざまだからね」



おどけた口調で蓮さんが笑う。



「まぁ、ひよも知ってると思うけど、だからってずっとストイックだったわけじゃない。きっとたくさんの人間を傷つけてきたと思う。
だけど俺は、赤の他人が傷つこううがどうでもいい……傷つけられる弱さを持った人間が悪いんだって思ってた。
だからどれだけ恨まれても、赤の他人にどう思われようがどうでもいいってずっと思ってた。
そうすれば誰も俺を傷つけることは出来ないし、俺は俺を見失わないでいられるって……」



強がりは、かつての自分への言葉なんだろうか。


強く優しい声で、蓮さんは静かに言葉を続ける。



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