身勝手な恋情【完結】
「ほら、飲むんだ」
少し苛立ったように眉根を寄せ、私を見下ろす蓮さん。
その瞳はどこかナイーブに輝いていて、胸をチクチクと針で刺されているように感じる。
蓮さん、もしかして私の「嘘」を信じた?
だからドラッグストアに薬を買いに行って来てくれたの?
「っ……」
疑ってばかりの自分が恥ずかしくなって。
なんて謝ったらいいのかわからなくて。
穴があったら入りたい気分で――
口の中は薬で苦いまま、呆然と蓮さんを見上げていると
「――ああ、もう……世話の焼ける……」
蓮さんは私の手からペットボトルを取り上げて、そのまま自分の口に含むと
私の頭を抱え、唇を重ねた。