身勝手な恋情【完結】
「お兄さん、今日は仕方なく入れましたけど……次からはもう入れませんから。周りの店にも言っておきます」
「ああ。そうしてもらえると助かるね」
蓮さんは至極冷静な表情でうなずき、しっかりと可憐さんの肩に腕をまわした。
「織音っ!」
「可憐、その口は何のためにあるの。こんなワガママで大人を困らせるんじゃないよ」
「っ……」
「――じゃあね」
厳しいことを口にしながらも、彼は蓮さんに会釈し、そして背後に立っていた私に気付くと、ニヤリと笑っていきなりウインクをしてみせる。
ひゃ!!!
驚いて硬直する私。
彼はそんな私を見てクスリと笑うと、踵を返しクラブへと戻っていった。
えっと……話がよく見えない……けど。
派手な外見とは裏腹に、なんだか落ち着いて、だけどどこか不思議な魅力のある子だったな……。