身勝手な恋情【完結】
「帰りたくない」
「可憐」
「どうせ家に帰ったって、お父さんもお母さんもいないんだもん。仕事、仕事って……嘘ばっかり」
「――」
「学校、もう終わってるし……今日はお兄ちゃんのところに泊まらせて」
可憐さんの切実な訴えに、蓮さんはため息をつき、タクシーの運転手さんに行先の変更を告げた。
タクシーが蓮さんの住まいのビルの前に停車する。
二人が降りたところで、私は助手席から蓮さんを見上げた。
「蓮さん、私自分の部屋に戻りますから」
部屋はまだ引き払っていないからこのまま帰ればいい。
お布団だってあるし。
そう、私なりに気を使ったつもりだったんだけど――