身勝手な恋情【完結】
「可憐さんのために……歩みよってもらえないんでしょうか」
そーっと上半身を起こす私。
さりげなく可憐さんを振り返ったけれど、彼女はグッスリと眠っているようだった。
私の問いかけに、蓮さんは難しそうに首を振る。
「元々知寿は親父の会社の社員で、とても優秀な人だった。だけど親父と結婚して仕事辞めさせられて、ずっとつい最近まで家に閉じ込められていたんだ。
だけど可憐が大きくなって、子育ても一段落ついたってことで、友人の画廊を手伝いだしたんだけど……それが面白くて仕方ないらしい」
「仕事……?」
眉をひそめる私。
そりゃ、仕事は……やりがいや生きがい大事だけど――
娘さんが家に帰ってこない状況はよくないんじゃないの?
「ひよにはわからないのかもね」
「え……?」
「俺は知寿の気持ちがわからないでもないよ」
「――」