身勝手な恋情【完結】
くだらない無駄口……。
そりゃ、そうだよね。私と副社長の会話なんて、社長から見たら「無駄」以外の何物でもないよね……。
しゅんとしていると、どこからか携帯の音が響く。
「――あ、ごめん。ちょっと待ってて」
ジャケットの内ポケットに手を入れる祐さん。どうやら鳴ったのは彼の携帯らしかった。
「はぁ?」
社長はすっと伸びた美しい眉を思いっきり不機嫌そうにしかめたけれど、祐さんは顔の前で「ごめんね」と手を挙げ、携帯を耳に押し当て事務所を出て行く。
「――はぁ……」
深くため息をついて、社長は適当な椅子を引いてそこに座る。