身勝手な恋情【完結】
白いシャツに紺色のニットカーディガン。細身のデニムにブーツ。
久しぶりに見た彼の姿だけれど、まともに視界に入れられない。
「――」
き……気まずい。
社長と二人きりになってしまった。
広い、広いとさっきまで思っていたこのスペースが急に狭く感じて、なんだか妙に焦っていた私は、何か言わなければと、口を開いていた。
「あの、コーヒー飲みますかっ……?」
「――いらない。それ不味いから」
「あ、そうですか……」
「――」
「――」
終わった。終わっちゃったよ。会話、さっそく終わってしまった……。
ああ、早く祐さん、帰ってこないかなぁ……。