身勝手な恋情【完結】

「蓮さんっ……!」



戻ってきた私を見て、依然床に座り込んだままの彼は目を丸くする。



「ひよ?」と彼の唇が動く。



「ごめんなさい!」



彼のもとへと駆け寄る私。

そして逃げられてたまるものかと、明らかに離れようとした彼の頭を胸に抱きよせた。

首筋に頭を押し付けると、ほのかに彼の吸う煙草のクローブの香りが漂ってきて、胸が切なくかきむしられる。


汗で濡れたシャツはひんやりと冷たい。

ううん。シャツだけじゃない。

唇に触れる彼の首筋も、肩のラインも、ドキッとするほど冷たくて。このまま蓮さんが凍えてしまうんじゃないかって、怖くなった。



< 85 / 469 >

この作品をシェア

pagetop