身勝手な恋情【完結】
「蓮さんっ……!」
戻ってきた私を見て、依然床に座り込んだままの彼は目を丸くする。
「ひよ?」と彼の唇が動く。
「ごめんなさい!」
彼のもとへと駆け寄る私。
そして逃げられてたまるものかと、明らかに離れようとした彼の頭を胸に抱きよせた。
首筋に頭を押し付けると、ほのかに彼の吸う煙草のクローブの香りが漂ってきて、胸が切なくかきむしられる。
汗で濡れたシャツはひんやりと冷たい。
ううん。シャツだけじゃない。
唇に触れる彼の首筋も、肩のラインも、ドキッとするほど冷たくて。このまま蓮さんが凍えてしまうんじゃないかって、怖くなった。