早く気づけ、バカ。
君は呆然とした顔で私のほうを見た。
私そっとその場から離れた。
涙が頬を伝う。
好きだ、好きなんだ。
智治が好き。
でもきっと
もう届かないね、この気持ちは。
もう戻れないね。
あのころの私達には戻れない。
終わってしまったんだ。
本当に
終わったんだ。
「っ…智治……!」
一度だけ、
嘘でも良いから
「好き」って言われてみたかった。
抱きしめてほしかったな、なんて。
どうにもならないことを考えた。
君が好き。
多分、ずっと好き。
心の中でつぶやいて
そっと目を閉じた。