早く気づけ、バカ。



そこから一週間。


智治は私に話しかけることはなかった。

同じように私も。


目が合うことさえ、触れることさえしない。


本当にただの他人。


私と君の接点はなくなった。





君の事を追ってしまう目がいやで

うつむくようになった。


君の声を聞き分ける耳がいやで

ヘッドフォンをつけた。


それでも、君への思いは変わらない。


こんな自分がいやになる。




全部全部、壊れたのに。


今までの関係にはもう二度と戻ることは無い。

いや、

戻れない。



前に進むしかない。



きっと夢だったんだ。

全部幻。


君とであったことも

君に恋したのも。


嘘。

夢、幻想。




「はぁ…。」

「ちょっと、絹大丈夫?」



智治と話さなくなってから

明らかに異常すぎる体調不良。



「ごめんほの。保健室行く…。」



「え、でも保健室には…。」


「も、いやあの、これ以上は、きつい。」




君と同じ空間にいるのが


少し前の私なら幸福だったんだろうけど


今の私にとっては


苦痛でしかない。



「じゃあ、先生に言っておくね。

 一人でいける?」


「うん、ありがとうほのか。」




心配そうにするほのかの元から離れ、

保健室へ向かった。
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