早く気づけ、バカ。





「車回してくるから校門で待っといて!!」


しょーちゃんが車を取りに行っている間に


私は校門へ向かった。




「はー、寒い…。」




風が強いのもあって、外は少し肌寒かった。






こんなとき、智治なら…。

きっと「寒いだろ」って言ってさりげなく自分のジャージとか出して

「これ着とけ」って手渡すんだろうなー…。





そんなこと考えていると





「…っ!!」





昇降口から出てきた人影。




なぜだか私はとっさに近くにあった木の裏に隠れた。





「優華まだー? 置いていくぞ!!!」

「ちょっと待って!!」






_____ドクンッ








「優華、遅い。」


「ごめん、ごめん!!」







_____ドクンッ









「優華ー、腹減ったー」


「帰りなんかよって帰る??」








_________ドクンッ










この声は間違いなく。







そっと顔をのぞかせた。






そこには





微笑んで



手をつなぎ



絡み歩く二人の姿が。








涙がこぼれた。
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